ドイツと比べても感じる、育成現場のジレンマ「格差」
指導をしていて、一番感じるのは…
格差
格差(かくさ)とは、同類のものの間における、程度( 水準・資格・等級・価格・格付け、レベル)などの差や違いである。
サッカープレーヤーと一口に言っても、
年齢から体格、意識やら生活背景やら、
何もかもが違う。
経験年数やスキルの差も勿論ある。
エリートグループの様に、
1つの学年で1つのチームを編成し、
セレクション等で選手を選りすぐっているのであれば、話は別だが、
少子化地域や、小さな規模のチーム、
習い事としてのスクールではそう上手くはいかない。
自分が現在活動している東南アジアの日系チームでは、
現在200名近い生徒を抱えているが、
1つの練習に異学年の選手たち20数名が、
小さなフットサルコートで活動している。
現場責任者である自分は、
営利団体であるチームの方針上、
この環境の中で指導を行っているが、
非常に難しい。
アシスタントには多少日本語が話せる現地スタッフがいるが、
常勤ではないので練習五分前に来て、打ち合わせ等をする時間も無く…
1つ目のセッションからは4時間ノンストップで指導し続ける…
そうした色々な選手達を上手く指導するのが腕の見せ所だ!
と思う方もいらっしゃるかと思うが、
果たしてどうなのか。
日本のサッカーの、チームに所属する選手の未来を真剣に考えれば考えるほど、
この現状に危機感や難しさを募らせる。
ヨーロッパでは、それぞれのレベルに適したクラブで過ごせるし、
当たり前に移籍もある。
文化としてそういった事が当たり前になっているが、
日本ではそうではない。
20数名の選手に1人2人の指導者では足りないし、学年が小さくなれば尚更…
例えば、20人でのトレーニングに、
2年生が2人に、
3年生が1人、
4年生が7人
5年生が3人
6年生が7人というトレーニング。
この中にスキルが高い選手が7人、
ごく一般的な子が8人、
運動が苦手な子が3人、
サッカーを始めたばかりの子が1人。
となった時、
1つのフットサルコートに一同に会すると、
非常に指導は困難となる。
それぞれ5人程度に1人指導者が居ればまた違うのだが、
これを基本的には一人で見る。
恐らくこういった状況の少年団さん等は日本にも多くあるはず。
更にこの中には、習い事のエンジョイ志向の子どもと、競技志向の子どもが入り混じっている。
楽しければ良いではないかと言う意見もあるが、
その為に質を落とす。
そうすると競技志向の選手達へのケアはどうだろう?
個別に課題を与えてみては?
と言っても、学年差等もあり、同じ競技志向の選手でもレベルに違いがある。
更に練習のスペースも限られている。
グループトレーニングも簡単では無くなってくる。
かと言って、上のレベルに合わせれば下の選手には当然だが課題な要求となる。
ドイツの指導書にU9/U10年代においての指導の心得として、こう言った事が書かれている。
子供達のコーチとして、要求する立場から、あなたはすべての子供の現在の能力と学習レベルに細心の注意を払う必要がある。ただし、決して過剰な要求をしてはならない。
一方、「この年齢時における遅れを、後で取り戻すのは難しいかもしれない」とも言える。
競技志向の選手達を思うと、この年代で遅れを取らないよう最善を尽くしたい。
しかし、そこについていけない選手達を思うと無理な要求は出来ない。
チームの構造・構成自体をすぐに変えることは不可能。
色々な文献や指導書を読み続けているが、常に試行錯誤の状況。
そんな指導者は多いのでは無いだろうか?
先程紹介した本も、そもそも今回のケースの様なカオスな状況を想定していない。
グラスルーツでのサッカーの発展を願うと同時に、
日本サッカー界にはこうした問題への解決策、より充実した育成年代の子ども達へのサッカー環境の提供への尽力を願ってやまない。
一人でも多くの子ども達が、自分の身の丈にあった最善の方法でサッカーを学べる日が来なければならない。
指導者不足もそうだし、指導力不足も勿論。
まだまだサッカー後進国の日本では、足りないものだらけ。
気付いた人から変わっていく。
出来る場所から変えていく。
日本サッカーの日本化の為に。